会社員にとって切っても切れない人事異動。
栄転といえる異動、不本意な異動、左遷的な異動、様々あると思いますが、中には、これって上層部の気まぐれ人事なんじゃないか!?と思うこともあるかもしれません。
また、異動するのは仕方ないけど、どうしてもモチベーションが低下してしまう。
希望の部署ではないので、全くやる気が起きない。
不本意な異動であれば、今後モチベーションをどのように保っていけばいいのか考えてしまいます。
かく言う筆者も、過去には不本意な人事異動でモチベーションが下がり、それを取り戻すのにかなりの時間を要した記憶があります。
本記事では、まず人事異動の種類を確認した上で、人事異動を拒否することは可能なのか、モチベーション低下の原因、人事異動の趣旨や背景を確認しつつ、どうすればモチベーションを保てるのか、考えてみたいと思います。
人事異動の種類
会社内の人事異動(配置転換)としては、
などがあげられます。
会社間の人事異動としては、
などがあげられます。
人事異動でモチベーション低下:拒否は可能なのか?
上記のとおり人事異動の種類は様々ですが、いずれにせよ、不本意な人事異動だと感じれば納得がいきませんよね。
そもそも人事異動を拒否することは可能なのでしょうか?
正社員に対する配置転換命令権は強く肯定されているため、基本的には人事異動や内示を拒否することはできません。
拒否の仕方によっては、懲戒解雇されるという事態もあり得ます。
正社員とは、一般的に長期的な雇用が前提であり、定年まで様々な職種や職場を経験することが予定されているため、職種・勤務地等の配置が限定されていないのです。
ただし、仕事内容や勤務地が限定された雇用契約がある場合は、その範囲内に限定されることとなるので拒否することも可能でしょう。
そして、企業側の立場に立ってみれば、配置転換命令権を権利の濫用とみなされるような取扱いをしてはいけないことになっています。
ただ、この基準も「親が病気がちなので面倒をみたい。」「子どもが幼く、家族での身動きがとれないので、単身赴任はできない。」といった事情では、異動拒否の正当な理由とはならない傾向があります。
一般的な感覚よりも、配置転換命令権が強く肯定されることがうかがえます。
しかし、この場合でも、親や子どもの病気が専門の病院でしか対応できないなど、転院が不可能であったり、代替措置ができない状況であれば、企業側はその不利益を防止する必要がありますので、状況にもよります。
配置転換命令権の権利濫用とされるケースとしては、
- 不当な動機や目的に基づく配置転換
- 従業員が被る不利益があまりにも大きい
- 業務上の必要性がない
- 人員選択が合理的でない
- 配置転換手続や経緯に問題がある
などです。
これらの状況があれば、人事異動を拒否する正当な理由といえる可能性があります。
つまり、今の人間関係や仕事内容に満足している、子どもの学校の都合、結婚したばかり、家を建てたばかり、精神的にきついなどの理由で拒否することは難しいでしょう。
異動することでどうしようもなく不利益が大きくなるような相当な理由がない限り、異動を拒否することは、その後の処遇面においてデメリットになると考えるべきです。
人事異動でモチベーションが低下する原因は何か?
ところで、人事異動でモチベーションが低下する原因はどんなものがあるのでしょうか。
- 異動内容からみても、自分が正当に評価されていないと感じる
- ほかの同期はよい職場環境で働いているのに、自分は不本意な異動と感じる
- 思い描いていたキャリアプランとの乖離(かいり)がある
- 仕事をまた一から覚えなければならない
- 異動先の環境に馴染めるのか不安であり、精神的負担が大きい
- 異動先は残業が多いなどの悪い評判を耳にしている
- 今の会社自体に楽しさを見いだせない
- 実のところ、ほかにやりたい仕事がある
など、様々な理由があると思います。
不安、焦り、いら立ち、憎しみといった感情があると、モチベーションを低下させるものになります。
そして、異動先でモチベーションが上がらない状態が続くと、
- 周りから不真面目だと思われ、信用を失っていく
- 人間関係がうまく築けない
- 評価を下げられ、出世や昇進が遠のく
- 新しい仕事で思うように結果を出しにくい
などの事態に陥ってしまいます。
人事異動はモチベーションを低下させる可能性があるのに、なぜあるのか?
そもそも、人事異動はなぜあるのでしょう。
それを知るだけでも、自分の気持ちを納得させることができるかもしれません。
企業側が人事異動を行う趣旨として、
- 新しい経験をさせることで、従業員が成長する
- お局様やボス的存在が職場環境を支配するようなことを避け、派閥等によって起こるいじめなどを防ぐ
- 職場環境が多少悪くても、定期的に異動させることによって、従業員の不満を和らげることができる
- 経理部門などの専門性が集中することによって起こり得る不正を防止する
などのメリットがあります。
さいごに
人事異動を拒否することは基本的に難しいので、上記を踏まえて自分なりに人事異動を受け止めましょう。
正当な人事異動であれば、会社はあなたに対し、異動先での成果を求めています。
上述した不安、焦り、いら立ち、憎しみといった感情がなければ、異動先での仕事に集中できます。
企業側の意向もくみ取って納得できれば、自己成長のために進みましょう。
ただし、トップが従業員を道具や将棋の駒のような感覚で人事を行っているのであれば、それは注意が必要です。
その後も不本意な異動を繰り返す可能性が否定できません。
そのような可能性があるのであれば、会社の環境やトップの動向をうかがい知ることで、今後の立ち振る舞いも変わってきます。
どうしても異動に納得がいかなかったり、会社に対する不満・不安がぬぐえないのであれば、いっそのこと転職するといった考え方もあります。
まずは、モチベーションが低下している原因や人事異動の背景を確認しておきましょう。
そして、あなた自身で考え、その考えに応じて行動することができれば、異動先であってもその他の選択であっても、やりがいを見いだせているはずです。
ーーー【追記】ーーー
筆者はパワハラ被害で長く苦しみ、当時のことを記事にしています。
もし興味があれば、ご覧ください。
≫パワハラ被害者のその後【辛い経験だったけど幸せをくれました】