私(筆者)は、職場の飲み会がすごく嫌でした。
前の職場では頻繁に飲み会が行われていました。
親睦会、懇親会、決起集会、打ち上げ、慰労会、反省会、送別会、歓迎会、忘年会、新年会、各種祝いに伴う飲み会、突然発生する部署だけの飲み会、・・・。
いったい一年に何回飲み会があるんだ・・・。
その度、事前に飲み会の会場をリサーチしてほかの従業員に知らせを送り、先に会場入りして御偉方(おえらがた)を迎え入れる。
会場に入ると、苦手な上司のそばには行きたくない。
「どのタイミングで苦手な上司にお酒を注ぎに行こうかな。」「そもそも何の話をすればいいんだよ。」
色々と考えながらも二次会の準備を考える。
ようやく飲み会が終了しても御偉方を駅まで見送り、自分の帰宅電車は終電ギリギリ。
翌朝には疲れた体に鞭(むち)打って出勤し、御偉方へ一人ひとりお礼の挨拶を行う。
辛いっ、辛すぎるぅぅ・・・。
私は、お酒を楽しめるタイプではなかったので、めちゃくちゃ辛かった記憶が蘇(よみがえ)ります。
仕事が終わって疲れているのに、無理やりテンションを上げなければいけない、あの感覚がとても苦痛でした。
前置きが長くなってしまいました。スミマセン。
ところで、飲み会って、絶対に参加しなければいけない雰囲気がありますよね。
飲み会を楽しめない人にとってはめちゃくちゃ苦痛だと思うんです。
でも、飲み会を断ることで、色んな不利益が待ち構えているように感じてしまいます。
そして、「職場の飲み会って実質の強要になってるよ。もうパワハラじゃん!」と思っている人が多いのではないでしょうか。
結論から話しますと、裁判例や厚生労働省が示すパワハラの類型等を確認しても、飲み会への参加が実質の強要になっている、ということだけではパワハラに該当するとは言い難い状況です。
ただし、飲み会に付随した行為によりパワハラ行為と認定される余地も十分にありうるようですので、以下を確認していきましょう。
職場の飲み会について「強要されている」「パワハラを受けている」と感じる理由
ところで、飲み会に参加することで失うものはなんでしょう?
まず、「お金」がなくなります。
会社や先輩・上司が払ってくれる場合もありますが、基本的には自腹であることが多いですよね。
そして、仕事終わりの大切な「時間」も奪われます。
たかが一日ぐらいと思う人もいるでしょうが、帰宅後の家族との時間、ゆっくりできる時間、趣味の時間を大切にしている人は多くいます。
私は、時間を奪われることにもの凄く抵抗を感じていました。
また、「体力」が消耗します。
仕事が終わってようやく身体を休める時間帯なのに、逆に上司等に気を使いながら夜遅くまで拘束される飲み会に参加していたのであれば、心身ともに消耗します。
二次会、三次会と続けば、睡眠時間までも削らなければいけません。
他にも個々人失うものがあるかもしれませんが、そうはいっても飲み会の参加を拒否できない雰囲気は存在します。
会社や上司からいわれると断れない、ほかの従業員は参加するのに自分だけ断る勇気なんてない、後々参加しなかった自分にケチがつくかもしれない、断ると自分の評価が悪くなりそう・・・。
色々と考えていくと、もう面倒くさいから参加しよう、となります。
実際のところ、飲み会でうまく上司を楽しませることができれば気に入られるのは事実ですし、それが仕事の評価にも影響を及ぼすことはあると思います。
仕事をきちんとこなしていても、飲み会を断ったり、飲みの場で面白くない素振りをしようものなら、上司から好まれる人間にはなれないし、評価は悪くなる・・・。
そんなことがあってほしくはないのですが、実際に評価に結び付く会社は多く存在します。
結局のところ、職場の飲み会について、強要されているとかパワハラを受けているように感じるのは、
・会社や上司から絶対に参加するようにいわれている場合
・自由参加とはいっているものの、参加しないと怒られたり注意される可能性がある場合
・自由参加とはいっているものの、参加しないと無視されたりいじめにあう可能性がある場合
・自由参加とはいっているものの、参加しないと協調性が不足しているという人事評価をされる可能性がある場合
・自由参加とはいっているものの、幹事等に指名されてしまい欠席できない場合
といった背景があり、「参加しなければいけない」という拘束力が生まれます。
飲み会への参加がパワハラに当たるのか、判例があるのか
冒頭でもお話しましたが、飲み会への参加が実質の強要になっているということだけをもって、パワハラに該当するような判例解釈はないようで、また、厚生労働省が示すパワハラの定義や類型をみても同様です。
しかし、厚生労働省では、「企業において実際に生じたパワーハラスメント又はそれが疑われたケースの考え方」として、
宴会の席でのマナーに関する注意が過熱し、後輩を蹴り飛ばした。
しつこく飲み会に誘う、職場の懇親会を欠席するに当たり理由を言うことを強要する。
を取り上げています。
つまりは、飲み会に伴ってこのようなケースに発展するとパワハラ行為として認定される余地があるということです。
当然、飲み会の参加に伴い、
- 拒否したことで無視や嫌がらせをする
- 拒否する理由を根掘り葉掘り聞きだす
- 強制的にプライベートな予定を変更させる
などの行為があれば、パワハラ行為と認定される余地があります。
判例確認のまとめ:飲み会の内容や影響によってパワハラ問題となりうる
あくまで、「飲み会の内容やその影響によってパワハラの問題が発生する。」というのが、現在の情勢となっているようです。
ですので、飲み会の参加を募る上司に対して、「それパワハラですよ」なんてことを言ってしまうと、あなたの立場が悪くなる可能性もあります。
飲み会にどうしても行きたくない人は、参加しなくてもいいと当然に思います。
ただ、言い方としては、
- はっきりと断る
- 体調不良で参加できない
- 家事要件がある
- 急ぎの仕事を終わらせたい
などの理由で回避した方がよいでしょう。
無理して飲み会に参加していると翌日の大事な業務に影響が出ることだってあります。
何より、時間、お金、体力、家族とのやりとりが奪われてしまうことは事実です。
もちろん、あなた自身が楽しめるのであればストレス発散にもリフレッシュにもなりますので、ぜひ参加して英気を養いましょう。
ーーー【追記】ーーー
筆者はパワハラ被害で長く苦しみ、当時のことを記事にしています。
もし興味があれば、ご覧ください。
≫パワハラ被害者のその後【辛い経験だったけど幸せをくれました】