パワハラ加害者のその後って気になると思います。
「被害者を好き勝手痛めてきたにもかかわらず、その後加害者はおとがめなし、、、」なんてこと、さすがにやりきれません。
私(筆者)が以前勤めていた会社は、大規模であったため、それゆえパワハラ体質が根強く存在していました。
しかし、ここ数年でハラスメントに対する教養だったり処分のあり方が規則に盛り込まれるなど、意識改革が進んでいきました。
そうすると、以前まで黙認されていた行為が明確に否定されるようになり、パワハラの加害者や被害者が顕在化するようになりました。
そして、パワハラの加害者として異動処分を受ける人が年々増加しています。
そんな中、私が実際に見た、処分対象者2人のその後について、お話したいと思います。
パワハラ加害者Aさんのその後
一人目をAさんとします。
Aさんは、以前所属していた部署で、リーダー的立場として業務を任されていました。
業務成績は優秀で、仕事に対する熱量も高い人です。
それゆえ、周囲の部下に対しては、強いプレッシャーを与え、過剰な業務を行わせ、また暴言等も重なっていき、被害者の部内相談の末、パワハラ行為が認定され部署の異動を命ぜられた人でした。
私は、Aさんと直接やりとりをする機会が少なかったのですが、Aさんの新しい部下とは交流が多く、Aさんの異動処分後について話を聞けました。
Aさんは異動後もとにかく働いていました。
数字にこだわり、自身も行動するので、周りからの評判も悪いものではなく、前回の処分もあってか部下に対して過剰なプレッシャーや暴言といったものはなかったようです。
異動後のAさんは残念ながら専門業務を外され、新たな業務をこなすことになりましたが、元々高学歴で頭がよかったため、数か月もすればチームを引っ張っていけるリーダーとなっていました。
当時関わりのなかった私から見たAさんはそうでした。
しかし、Aさんの新しい部下(ここではCくんとします。)から話を聞けば、そんなにスマートな状況ではありませんでした。
異動直後のAさんはとてもいい上司であったようです。
Cくんも新しくその部署に配属され、右も左も分からなかったようですが、比較的丁寧に教えてくれるAさんに対して好印象を抱いていました。
ただ、期間の経過に伴って、元々様々な業務に就いてきたAさんは、新しい業務でも応用が効くるようになり、また当人の仕事に対する熱量やそもそもの役職も加わり、短期間で大きな発言力を持つようになりました。
そうなると、徐々に素の本人が見え隠れしてきたとCくんは言います。
異動後3ヶ月の頃には、「そんなの分からないの?」「いやいや、そんなの聞かなくても分かるでしょ。」がAさんの口癖だったそうです。
Aさんは、Aさんの基準だけで物事を進めていくタイプでした。
また、突発的な案件やトラブルがあるとAさんは周りが見えなくなる傾向もあったようで、そういった状況での叱責はかなり強い口調だったようです。
すると、部署内では「やっぱりね。あの人はまたパワハラするよ。」という雰囲気が広がり、必要最低限でしか関わろうとしない人が続出したそうです。
そのような雰囲気が部署内で浸透しきった頃なのか、異動後半年のAさんを見かけたところ、AさんがCくんに対してお笑い番組の話題を振っていました。
それには少し驚きました。
Cくんから聞いたAさんの性格では仕事以外の話をあまりしないはずだったので、関係がよくなっているのかな、とも思いました。
しかし、そのときのCくんの顔は普段見せないほどに引きつっていました。
周りの人は全く顔を上げずにやり過ごしていました。
後々Cくんから聞くと、Aさんはしばらくして暴言を発するようになり、見かねた上司から厳しく注意を受けたようで、その後、Aさんと会話をする人が極端に減ったようです。
それでもCくんは人を無視できない性格なのでAさんとの会話に極力応じていたようですが、周りの雰囲気やAさんのぎこちない話題に疲れるばかりと語っていました。
その後2年ほど経ったある日、私もAさんと会話することがありました。
確かに仕事に対して知識も熱意もある人だとうかがえました。
ただ、仕事に依存しすぎとも感じました。
Aさんは、会話の中で「今の部署を早く変わりたい。役職を上げたい。」といった趣旨を頻繁に話していました。
約20年その職場で頑張ってきたAさんにとっては、上を目指すことが強いやりがいになっているように感じたのです。
Aさんは、専門業務に戻ることも、役職が上がる見込みもその時点でありませんでした。
Aさんの部署では、「Aは絶対にパワハラをする。」という噂が広がっており、Aさんの上司も目を光らせていたのです。
飲み会にもAさんは誘われていなかったようですし、少し気の毒にも感じていたことを思い出します。
パワハラ加害者Bさんのその後
二人目はBさんです。
Bさんは、以前所属していた部署で、後輩を罵倒し続けた結果、パワハラに相当するということで部署の異動を命ぜられ、私の部下という立場で業務に就きました。
Bさんは、業務成績・能力ともにあまり高いとはいえず、元々後輩に仕事を押し付けるタイプでした。
また、私が気付いた点として、Bさんは、自分が知っている範囲でしか仕事をしない、新しいことにすごく消極的、行き詰まると不機嫌さがあらわになる、といった性格でした。
しかし、Bさんは、自分では仕事ができると思い込んでおり、「俺の若いときは・・・。」「昔だったら・・・。」が口癖で、虚勢(きょせい)を張ることが多くありました。
それゆえ、後輩が仕事の不備を指摘するとなれば、自尊心を傷つけられたかのごとく、激怒するというときが度々ありました。
異動当初は気になるほどではなかったのですが、徐々にそのような言動が見受けられたため、さすがに私も頭を悩ませました。
Bさんは、役職を上げたいという意識だけは人一倍強く、直属の上司には礼節を重んじていました。
ですので、私の指摘も基本的には素直に受け止めるのですが、やはり気持ちの良いことではないので、そのストレスはBさんの後輩に発散されていたようです。
しかも、私が頼んでいたBさんへの仕事を度々後輩に押し付けていることも判明し、後輩からの報告を受けるまで、正直その深刻さに気付きませんでした(情けない、、、)。
Aさんのケースとも似ているのですが、その後は部署内でみんなBさんを避けるようになっていきました。
周りは、Bさんに対して、「あの人はうるさい」「面倒くさい」「全然仕事をしない」などと言い出し、他の部署でも悪評判ばかりが広がっていきました。
幸いにも、異動後のBさんがパワハラをすることはなかったようですが、それでも、後輩たちからは敬遠される存在となっていました。
Bさんは、5年後の今でも役職は上がらず、後輩に仕事を押し付けているということです。
パワハラ加害者2人のその後を見てきて思うこと
今回、私が実際に見てきたパワハラ加害者2人のその後でしたが、どちらも異動後職場に慣れてくると素の自分(パワハラ気質)が表れてきたように思います。
また、共通の痛手としては、
- キャリアアップが遠のく
- 周囲がどんどん離れていき孤独になる
なのかな、と思います。
2人とも特権意識(役職を上げたいという気持ち)がとても強かったので、パワハラでの処分は、当初思い描いていたキャリアパスを妨げる、つまりやりがいにブレーキがかかる要因となったことは間違いありません。
ですので、やっぱりパワハラをしていいことなんてありませんよね。
パワハラ加害者は、よく「俺はパワハラなんかやっていない!」と主張するようですが、本当に自覚がない人も多いです。
しかし、よく自分の行動を振り返っておかないと、被害者の意向次第では損害賠償請求をされることだってあります。
訴訟となれば、会社での立ち位置どころではなくなる可能性があります。
被害者に対する関係改善が必要となり、その対応に困窮することだってあります。
今回のケース以上の深刻な事態が起こり得るのです。
そして、パワハラ防止法の施行により、今後加害者に対する社会の認識が厳しいものになるのは間違いありません。
逆に、被害者としては、パワハラを受けた際には絶対に一人で抱え込まず、きちんと対応してくれる窓口に相談をすることです。
それだけで状況は一変するのです。
ーーー【追記】ーーー
筆者はパワハラ被害で長く苦しみ、当時のことを記事にしています。
もし興味があれば、ご覧ください。
≫パワハラ被害者のその後【辛い経験だったけど幸せをくれました】